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件名: つくる会FAX通信199号

新 し い歴 史 教 科 書 を つ く る 会

つくる会FAX通信

199号 平成19(2007) 77(金)  送信枚数2

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扶桑社・片桐社長「見解」(6月26日)への反論

  平成19年7月6日

 会長 藤岡 信勝

 

株式会社扶桑社は、6月26日、文科省記者クラブ所属の各社に、「5月31日付『新しい歴史教科書をつくる会』藤岡会長声明についての見解」(以下、「見解」)という文書を配布しました。産経新聞は<「団結し制作を」/つくる会に要望/扶桑社が見解>という見出しをつけて報じました。しかし、当会はいかなる要望書も扶桑社から受け取っておりません。また、「見解」の内容も会として容認出来ないものです。そこで、これを放置すると誤った情報がひとり歩きする恐れがありますので、あえて反論しておきます。

 

この度の扶桑社「見解」の最大の眼目は、私が会長をしている現在の「新しい歴史教科書をつくる会」を、わざと正統な団体として認めないという不自然な議論を展開しているところにあります。「見解」は次のように述べています。

  【客観的に見れば一昨年以降の「つくる会」会長の交代を検証し、また、今回の小林会長の解任経緯を見れば、「つくる会」は分裂し、それが進行していると判断せざるを得ません】

 一昨年以降の会長交代は、すべて会則に基づき適法に行われたもので、外部の組織から「検証」したと言われる理由はありません。八木秀次元会長ら6人の理事が離脱した昨年4月の経過について言えば、八木氏らが知識人としても一個の人間としてもやってはいけない行為をしていたことが明るみに出たことが原因です。理事会では、その行為を謝罪して一緒にやり直そうと他の理事が呼びかけましたが、それを振り切り、八木氏らは脱会していきました。このように、会は分裂したのではなく、一部の理事が運動から脱落したに過ぎないのです。辞任した八木氏らも、自分たちがつくる会の正統的一翼であると主張したことはありません。もし扶桑社が、これをあくまで会の「分裂」であると言いつのるなら、昨年4月前後の経過を全面的に明らかにせざるを得ません。

 最近の小林正元会長の解任について言えば、8ヶ月にわたって扶桑社との交渉を単独で行い、会の代表ではなく扶桑社の代弁者として振る舞い、あげくのはてに扶桑社から関係解消をつきつけられた後も、会としての独自の行動を否定して扶桑社のいいなりになることを主張したその路線が、理事会の多数の賛同を得られなかったことの必然的帰結です。理事会は自発的辞任を打診しましたが、本人が拒絶したため、やむを得ず解任となったものです。

 

【藤岡会長とその支持者の方々は、この分裂後の藤岡会長「つくる会」の正統性を主張され、(中略)一昨年の分裂以前の「つくる会」メンバーの協力体制構築を求める扶桑社とは残念ながら見解を異にいたします】

  <藤岡会長とその支持者の方々>とか、<藤岡会長「つくる会」>などの無礼極まりない表現が、この「見解」の性格をよく表しています。要するに、八木氏が辞め、小林氏が解任されたからつくる会には正統性がないと言っているのです。社長が何かの事情で辞任したり解任された会社は、会社としての正統性がないと言っているのと同じです。

 

 さらに、「見解」とは別に「次期教科書出版事業における扶桑社の姿勢」という4項目の箇条書きの文書が配布されましたが、その中の一項目は次の内容です。

【編集・発行にあたっては、引き続き従来の「新しい歴史教科書をつくる会」の活動の再現を目指す。八木秀次理事長の”日本教育再生機構”とも協力して進める。したがって、藤岡信勝会長とその支持者による”新しい歴史教科書をつくる会”のメンバーには、今後(’07.5.31以降)も大同団結に参加されることを熱望している】

 一読しておわかりのように、脱会した八木氏らを含めた、この世の中のどこにも存在しない、観念の上での「新しい歴史教科書をつくる会」が唯一正統なつくる会であり、現在のつくる会は正統性がないから、”新しい歴史教科書をつくる会”と、別の括弧で表記するという、稚拙な論理操作を展開しているだけの文章です。実際は八木理事長の教育再生機構と緊密に連携し、『新しい歴史教科書』の執筆者を追い出して会を辞めた人々に首をすげ替えた上で、残ったつくる会に対し、<大同団結に参加されることを熱望している>というのですから、結局、これはつくる会を解体し完全に利用し尽くすと言っているのと同じです。これほど露骨な組織介入はありません。扶桑社のしていることは、産経新聞の見出しから受ける印象とは正反対の行為であることがおわかりいただけると思います。

 

扶桑社はつくる会への関係解消を通告するに際して、なぜすでに教科書が出来ているのに、新規に別のグループと組んで新たな教科書を出すことにしたのか、その理由を書きませんでした。会はいろいろな機会に扶桑社側の人物にこの質問を投げかけ、<現行の『新しい歴史教科書』に対する各地の教育委員会の評価は低く、内容が右寄り過ぎて採択が取れないから>であると言っていることを突き止めました。これに対して「見解」は、【事実に全く基づかないコメントであり、極めて遺憾であります】と述べています。しかし、これは私たちの調査に基づいた厳然たる事実であって、いまさら自らの責任ある発言を取り消さざるを得ないとは、つくる会を排除する理由に全く大義がないことを自ら告白したようなものです。

 

「見解」は最後の部分で【別会社を設立し、次回の採択に向けての新たな教科書事業に着手することになりました】と書いています。結局、<新たな教科書事業>を始めると言うのですから、それ以前に書かれていたことは、本当は全て無意味なのです。しかし、教科書改善を提起したのはつくる会であり、10年間の運動の蓄積はつくる会の会員たちの浄財と無私の活動によって生み出されたもので、扶桑社はそのパートナーであったにすぎません。教育再生機構には、当然ながら何の実績もありません。つくる会を離れて扶桑社が教科書事業に改めて手を染めることに、何の大義名分も道理もないのです。

 そもそも、出版社が「団結」をよびかけるなど、運動団体用語を使うこと自体、異例です。フジテレビ出資の3億円が、新規事業の直接の要因ですから、フジテレビの報道の中立性にも、今後根本的な疑問が付されることになるでしょう。大義のない、一部グループの私益に奉仕する教科書事業は出発点から道義的に破産していることを指摘しておきます。

 

                                                                                以上

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