531 日付「新しい歴史教科書をつくる会」藤岡会長声明についての見解』


                             
平成19 6 26
                             株式会社扶桑社代表取締役社長 片桐松樹


「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」)は、531日記者会見を行い、小林正会長の解任と藤岡信勝副会長の会長就任を 発表し、別紙の藤岡新会長の声明を公表いたしました。声明の中には、「つくる会」と扶桑社の関係についてのコメントが含ま れておりますので、これについて扶桑社としての見解をここに表明いたします。扶桑社としましては、226日付け扶桑社から「つくる 会」への回答にもあるごとく、「つくる会」が分裂し、扶桑社の教科書 に対する支持が前回、前々回の採択時のような拡がりを欠くことになる ことを強く憂慮いたしております。510日付け「つくる会」の「見解」では、「つくる会」に分裂の事実は無いとのことです が、客観的に見れば一昨年以降の「つくる会」会長の交代を検証し、また、今回の小林会長の解任経緯を見れば、「つくる会」は分裂し、それ が進行していると判断せざるを得ません。このような「つくる会」の状況について、種々の事情があるものと推察 するのみで、扶桑社としてコメントする立場にはありませんが、扶桑社 としては、次回の教科書編集については、前2回の採択時のよう に、当時の関係者が大同団結してご協力いただけることを期待しており、何度もそのような状況が実現するように働きかけも行ってまいりま した。これに対して、藤岡会長とその支持者の方々は、この分裂後の藤岡会長「つくる会」の正統性を主張され、扶桑社が相手にするのは現状の「つくる会」のみでよいというお考えであり、一昨年の分裂以前の「つくる会」メンバーの協力体制構築を求める扶桑社とは残念ながら見解を異に いたします。また、次回の教科書については、扶桑社としては、発行の基本理念についてはゆるがせにすることなく取り組んでまいりますが、前2回 の発行を通じて得た教訓を基にし、現場の先生方のご意見も参考にし、「ユーザー」である生徒達に対して分かりやすい叙述に変えるなど、積極的な改善によりさらに良い教科書を目指していきたいと考えておりま す。これに対して、510日付け「つくる会」見解は、必 要最小限の改善で良いとしており、扶桑社とは見解が異なります。このように扶桑社が次回の教科書の内容を積極的に改善しようと努力する理由を、「現行の『新しい歴史教科書』に対する各地の教育委員会の 評価は低く、内容が右寄り過ぎて採択が取れないから」であるとする藤岡会長の声明は、事実に全く基づかないコメントであり、極めて遺憾で あります。以上は、藤岡会長の声明に対する扶桑社としてのコメントでありますが、扶桑社としては、現在も次回の教科書が前2回の体制を再現 する形で制作されることを熱望しております。その意味で、藤岡会長とその支持者である「つくる会」メンバーの方々 が、大同団結に加わっていただき、多くの方々が智恵を出し合う形で教科書制作が進むようにご協力いただけるようになることは扶桑社として大歓迎するところであります。扶桑社といたしましては、226日付け扶桑社回答にもあるごとく別会社を設立し、次回の採択に向けての新たな教科書編集作業に着手することになりました。別会社とする理由は

●より良い教科書編集を実現し、より多くの採択を獲得すると共に、教科書コンテンツの2次利用や派生的な出版物を積極的に生み出す体制を整備し、教科書事業の採算効率を的確に把 握できるようにすること、

●前2回の発行理念は、しっかりと継承することは当然であるが、前2回の編集体制の再現に不安がある以上、別法人による新たな教科書発行であることを明確にし、著作権 などでの無用の混乱を防ぐ、

この2点にあります。

以上、扶桑社としての見解を述べてまいりましたが、この当社の方針に ご賛同いただける一人でも多くの方々からご支援をいただけますよう努力する所存であります。