ワルシャワの世界家族会議W参加報告 印象的な講演者

 講演の内容を分類すると、「家族の理念」、「家族崩壊の統計的分析」、「人間存在の尊厳と哲学」に分けられると思える。

「家族の理念」を説く言葉としては、「家族が無ければ、国家が無い。世界が無い。よって何も無い」、「家族は全ての国に先立って存在し、全ての文化、全ての時代で見出される。・・・国が家族を作るのではない。家族が国を作るのである」、「ヨーロッパは全ての面で反出生活動家と結婚した」、「子供がもっとも安全な場所は自然な家族のなかであり、もっとも危険な場所は同棲のカップルである」、「同性婚を合法化することは結婚の社会的意味を枯渇させる」、「あなたが家族を守るとき、あなたは社会をそして国家を守っている」、「家族を守るということは全てに優先する。今日の世界で必要とされる基本的な道徳的価値、即ち、連帯、尊敬、責任、愛、許しに頼れるのは家族においてである」などである。この珠玉の言葉を聞くだけでもこの会議に参加した意味があると思える。今まで、我が国ではこのような家族の尊さの理念を言葉として発することを余り聞いたことも無かった。それはよく考えてみれば、日本人が昔から伝えてきた、暖かい、懐かしい、優しい家族のあり方そのものであって、我々日本人にとって、何も新規なものではないからです。しかし現在、家族の崩壊がもたらす、おぞましい、痛ましい事件の噴出をニュースで報じられると、改めて、戦後の日本が失った、家族の価値の尊さを思い知らされるのであります。

  「家族崩壊の統計的分析」はパット・フェイガンが大スクリーン上にその分析の結果を分かりやすくグラフ表示をしていた。この会議で主に発表したことは、親の色々なタイプ別の子供の行動である、親の色々なタイプとは、両親がそろっている、再婚同士の両親、離婚した片親、同棲のパートナー同士、などである。日本でも離婚が増えているが、何度も離婚してその都度できた子供たちは、その都度の父親とどういう関係にあり、どういう生活を強いられるか、どういうストレスを受けるか、その結果どういう問題行動をとるか、ということを分かりやすくグラフにまとめて説明していた。また、教会に通う頻度と親のタイプ、子供の問題行動の関係などの説明もあった。教会との関係で我が国の新教育基本法に書かれなかった「宗教的情操の涵養」ということの大切さを改めて考えさせられた。ちなみにフェイガンのホームページのアドレスは

http://www.familyfacts.org/ である。その他の講演者もこの統計的分析結果を利用して講演していた。

また、イネーゼ・スレゼレさんがラトビアの心配な傾向を数値で示したが、その人口減少、離婚率の増加、嫡出子の激減、中絶数の増加は、どのヨーロッパ諸国の問題でもあるとのことである。

  「人間存在の尊厳と哲学」のことであるが、さすがこういう問題はヨーロッパの宗教的歴史の重さを感じさせる。マレク・ジュレク、ポーランド代表のヨーロッパ議会議員はさすがに歴史家でもあって、30分の講演の間、堂々と胎児の生きる権利、人間の基本的権利、社会的存在としての人間について語った。ブッシュ大統領()のスピーチライタでもあるジャニス・クローゼは子供にとって如何に両親の愛情が必要であるか、理屈を越えた家族同士の信頼が必要であるかを説いた。ポーランドのリュービンのカトリック大学の家族科学の教授のバーバラ・シロービッツの講演は極めて、哲学的宗教的で人間存在の尊厳性をジョン・ロックの説を引き合いに出しながら、生命倫理学や延命措置の中断の問題を堂々と論じていた。