「沖縄集団自決」教科書検定に関する国会決議は
法治主義に対する挑戦であり、この暴挙に断固反対します
新しい歴史教科書をつくる会「声明」(19.10.4)

 

 野党4党は「沖縄集団自決」に関する文科省の検定意見撤回決議を衆参両院に提出する準備を進めており、今月中旬にも可決することを目指していると報じられている。これは法治主義に対する挑戦であり、法治国家としての日本の根幹を揺るがす暴挙である。私たちは断固として反対する意思をここに表明する。以下、国会決議の問題点を4点にわたって指摘する。

 第一に、沖縄における集団自決に軍命令はなかったことはすでに実証されており、この真実を国会決議によって覆すことはできない。国会は個々の政策を法律などに具現化して多数決をもって決定することはできるが、歴史の真実を多数決で決定することはできない。歴史の真実は史料と理性にもとづく学問的検証に結論をゆだねるべきもので、そもそも国会決議になじまないテーマであり、越権行為である。参議院で多数を制した野党は、数の力で何でも出来るかのように錯覚しているとすれば、重大な問題である。もしそのような決議をすれば、国会の権威をみずから破壊することになり、議会制度は一つの戯画となる。

 第二に、文部科学省の今回の検定は、国会の定めた法律に基づく法秩序に従って、実証された史実を根拠に正当に行われたものである。この検定を国会の決議によって覆すことは、国会による行政権の侵害であり、三権分立の侵害である。さらに、改正された教育基本法第16条は、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」と規定している。今回の教科書検定は、軍命令が存在しなかった事が明らかになった状況に合わせて、「法律及び他の法律の定めるところにより」「公正かつ適正に」行われたものである。この検定結果を覆そうとする国会決議は、この条文に違反する「不当な支配」にあたる。

 第三に、沖縄における集団自決の史実について、もし疑いを提起するのであるならば、それは司法において行うべきものである。事実、現在進行中の裁判がある。国会決議は司法の判断に影響を与える危険もあり、その意味でも三権分立の原則に反する暴挙である。

 第四に、もし国会決議によって「軍命令による強制」を教科書に書かせることになれば、軍命令を出していない日本軍将校およびその遺族に対する重大な人権侵害となる。この点でも国会決議は国会自らが人権侵害行為を行うという結果となり、許し難い暴挙である。

全ての国会議員の皆様の熟慮と再考を切に求めるものである。